国際協力の仕事と映画な日々

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「100人の子供たちが列車を待っている」から「こども映画レッスン」へ

一度だけスクリーンで観て、その感動を忘れられない映画があります。ソフト化されておらず、ずっと再見できなかったのですが、今年DVDが発売されているではないですか・・!さっそく買いました。

『100人の子供たちが列車を待っている』(1989/チリ)

作品内容

子どもたちは自らの想像力をひきだし、この世でかけがえのない存在だということをつかみとっていきました - アリシア・ヴェガ

チリのサンティアゴ郊外、ロ・エルミーダに生まれた子供たちは、貧しさゆえに一日一食しか食事ができない。ほとんどが映画を観たことがない。そんな子供たちに映画というものを手作りで教える女性教師、アリシア・ヴェガ。教室は毎週土曜日、教会で開かれた。子供たちはそこで、映画の歴史や構造などを楽しみながら学んでいく。紙や木で簡単なアニメの装置を作ったり、図像を切り取ることによって、映画のプランニング、遠近法、カメラの動きを体験する。1人が1枚のコマを描き、それをつなげて1本のフィルムを仕上げていく。 “遊びましょう”と子供たちに呼びかけ、映画を教えるアリシアと、好奇心と期待に輝く瞳でそれに応える子供たち。このことが、学ぶことの本質は単に記憶することではなく、自分の想像力を発掘し、世界を発見していく刺激的で楽しい行為なのだということを表している。

この作品のタイトルにある“列車”とは映画史上伝説となっている“列車”のことである。1895年、リュミエール兄弟によりパリで産声をあげた映画に登場した “列車” -タイトルは『列車の到着』だった。そして、列車を待っている100人の子供たちは、自由を求めて新しく旅立つための“列車”を待っているのであり、彼らは“チリの人々と国”でもあるのだ。

作品情報 | 株式会社パンドラ

 

この映画を観た感想は「喜び」というものにつきます。

映画を知る「喜び」。映画を体験できる「喜び」。毎週映画を教えに来てくれる先生を待つ子どもたちの表情が忘れられません。

いつか、同じようなことができるといいなあと思っていて、実際自分の働くNPOでも企画して子どもたちとビデオワークショップをしたことがあります。子どもたちが生き生きと参加してくれ、しかも完成したドキュメンタリーの出来が思いの他良く、自分自身も楽しかったことが強く印象に残っています。

 

「こども映画レッスン」

そしてこの夏、縁があり「こども映画レッスン」を手伝わせていただくことになりました。

「こども映画レッスン」は、8月17日(日)から4日間かけて、江東区豊洲の団地を舞台に、小中学生が映画を制作するというものです。

しかも、ホラー映画!

何とも楽しみです。

さらには、映画作りを「楽しかったね」だけで終わらせるのでなく、メディアリテラシーについても学んでもらおうという貪欲な企画です。

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メディアリテラシーってそもそも?

メディアリテラシーとは、映像メディアを主体的に読み解き、その真偽や必要性を見抜き、活用する能力です。映像メディアが現実そのものを記録するのではなく、現実を変調、変更させて表現されていることを映像を見たり実践に撮影しながら解説していきます。

「こども映画レッスン」

新聞やインターネットなど、さまざまあるメディアの中でも、今回は映像メディアをどう読み解くかということを教えるわけですが、何しろ相手は小学年。

実際は「映画の仕掛け・秘密を探ろう!」といった方がわかりやすいかもしれませんね。

 

映画の仕掛け・秘密

学生時代に、撮影実習でこんなことをやりました。

ふたりの男女を横に並べて撮影します。

次にふたりの距離を、それこそ頬と頬の距離を10センチ程にぐんと近づけて再び撮影します。

できあがった映像を見ると、後者の方がふたりの新密度がぐんと高まり、恋人のように見えるのです。面白いものです。
シンプルですが、これぞまさに映像演出です。

 

「こども映画レッスン」では、無表情に撮った女性の顔の前後に他の映像を貼りつける(編集する)ことで、その女性の顔がどう見えるか、どんな感情を持っているように見えるか、実際に映し出して子どもたちと検証するそうです。

ワクワク。

特別講師はカンヌでの評価も高い万田邦俊監督。これまた楽しみです。

 


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