国際協力の仕事と映画な日々

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ウェス・アンダーソン流の「お遊び」を見逃すな!『グランド・ブダペスト・ホテル』

とうとう観てきました。

ウェス・アンダーソン監督の『グランド・ブダペスト・ホテル』。大ヒットしているそうです。

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ウェス・アンダーソンという監督の以前の印象は、風変りな映画を作る人というものでした。

ちゃんと作品を見たのは『ダージリン急行(2007)』からです。

でもDVDで見たからか、当時はあまり響きませんでした。
その次に観たのが『ファンタスティック Mr.FOX(2009)』。

これは人形をコマ撮りしたクレイアニメーション。主役の父さんキツネの声をジョージ・クルーニーが演じてるだけでハートを射抜かれるようですが、映画自体とても素晴らしく、5本の指に入るかどうかというくらい大切な映画になりました。ちゃんと映画館で観たからかもしれない。

そして、前作『ムーンライズ・キングダム(2012)』。

これも期待を裏切らない面白い映画だったので、最新作は公開が決まった時から楽しみで仕方ありませんでした。

 

ノリに乗っているウェス・アンダーソン最新作『グランド・ブダペスト・ホテル

ストーリー:1932年、品格が漂うグランド・ブダペスト・ホテルを仕切る名コンシェルジュのグスタヴ・H(レイフ・ファインズ)は、究極のおもてなしを信条に大勢の顧客たちをもてなしていた。しかし、常連客のマダムD(ティルダ・スウィントン)が殺されたことでばく大な遺産争いに巻き込まれてしまう。グスタヴは信頼するベルボーイのゼロ(トニー・レヴォロリ)と一緒にホテルの威信を維持すべく、ヨーロッパ中を駆け巡り……。

映画『グランド・ブダペスト・ホテル』 - シネマトゥデイ

 

奇想天外なストーリーはもちろん面白いのですが、この映画のもうひとつの面白さは映画大好き人間、ウェス・アンダーソンならではの「お遊び」にあります。どんなものか気になる方は、まず2分の予告編を見てください。

 

 

わかりましたか?

 

ウェス・アンダーソンのこだわり(その1):「お遊び」を見逃すな!

映画では3つの時代が描かれていて、それぞれをその時代当時のスクリーンサイズで表現しているのです。

気付かなかった方は、もう一度予告を見てみてください!

ちなみに私は事前情報無しで観て、ひとつのサイズに関しては、うっかり見落としてしまいました。。(残り2つはさすがに気付きました)

パンフレットの監督のインタビューでも触れられていたので抜粋します。

グランド・ブダペスト・ホテル』パンフレット、監督インタビューより

ーー本作は3つの異なる時代ごとに、フォーマットの違うカメラを使用していますね。

監督「異なる質感のフォーマットにこだわりたかったんだ。30年代のシーンは、古き良き時代の映画の雰囲気を醸しだしたかったから、アカデミー比(1.37:1)を使った。60年代にはシネマスコープが全盛になったから、2.35:1のアスペクト比にした。レンズも古いものを使ったよ。そして一番最近のシーンが1.85:1」

 

つまりこんな感じ。

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※詳細はこちら 画面アスペクト比 - Wikipedia

映画の構成自体が、現代→中過去(60年代)→大過去(30年代)→現代と流れていき、最も多くを占めるのが30年代の話です。

最初に「お遊び」と言いましたが、どの時代の話かサイズを切り替えることで観客の混乱を避ける意味合いもあり、一流の「お遊び」であり、優れた表現技法でもあります。

ちなみに、日本映画もほぼ同じ画面比率の歴史を辿っていて、例えば小津安二郎監督などが活躍していた戦前から映画黄金期(1950年代)までは、スタンダードサイズが主流。その次に『男はつらいよ』や『トラック野郎』など横長のシネマスコープ(厳密には会社ごとに呼び名が違う)の時代があり、現在はビスタサイズで落ち着いています。

グランド・ブダペスト・ホテル』も、画面サイズを確認しながら観ると、より面白いはずです!

ウェス・アンダーソンのこだわり(その2):あの映画に似てる!

舞台となるホテルは素晴らしい美術です。セットかと思いきや、ドイツに実在のデパートの内装をホテルとして作り変えたのだそうです。手が込んでます。

ホテルの美術を見ていて感じたのが、スタンリー・キューブリック監督の『シャイニング(1980)』に似てる・・ということ。『シャイニング』も同じくホテルが舞台のめちゃくちゃ怖い映画です。

ウェス・アンダーソン自身もキューブリックの大ファンで作品に影響を受けていると公言しているようなので、連想するのも当然ですね。

とは言え、似た感じの美術、そして同じような左右対称の映像が、片方は恐怖、もう一方は奇妙な可愛らしさの表現につながっているので、そこは興味深いです。

 

その他、私がなぜウェス・アンダーソンの映画に惹かれるのか考えてみました。

ここが刺さる。勝手にまとめたウェス・アンダーソン作品の魅力、5つ。

  1. ドールハウスを見ているようなワクワク感
  2. 奇想天外でコミカルなストーリー
  3. ひと癖ある愛すべき登場人物たち
  4. 作品世界にマッチした音楽(思わずサントラ買っちゃいます)
  5. 砂糖菓子のような作風の中で味わえるちょいビターテイスト

 

映画本編はもちろん、パンフレットも読み応え十分でした。

公式サイトも洒落ています。特に気に入ったのは特製グッズやポスターがダウンロードできるページ。

ウェス・アンダーソン最新作「グランド・ブダペスト・ホテル」大ヒット上映中!

女子の心をくすぐりますね。

 

 


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