国際協力の仕事と映画な日々

映画な日々と国際協力の仕事をゆるーく融合させたいブログ

「美味しんぼ」騒動、風評被害、被災地の人々を苦しめているのは、あなたかもしれない

美味しんぼ」騒動をめぐり、福島県双葉町が正式に小学館に抗議したそうです。

そもそもことの始まりは、風評被害を招きかねない描写の掲載でした。

問題となっているのは、「ビッグコミックスピリッツ22・23合併号」に掲載された、福島第1原発の見学から帰ってきた主人公らが原因不明の鼻血を出すといった一連の描写です。主人公は病院で「放射線と鼻血を関連づける医学的知見はありません」といった説明を受けるものの、その後、他のキャラクターも鼻血や疲労感を訴えたり、双葉町元町長の井戸川克隆氏が作中に登場し「福島では同じ症状の人が大勢いますよ。言わないだけです」と語ったりするところで漫画が終わっています。
この内容に対しネットなどで「風評被害を招く」「ミスリードにつながる」といった批判が続出し、「炎上」状態に。大手新聞もニュースとして取り上げるなど、大きな騒動に発展しています。

ねとらぼより

http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1405/02/news079.html

昨日訪れた写真展会場で、震災直後から福島を撮影し続けているフォトジャーナリストの渋谷敦志さんともそのことについて話しました。

渋谷さんの取材対象である福島の方々は、現在も津波に流されて行方不明のお子さんを探すために定期的に放射線量の高いところを捜索してまわっています。

捜索活動は数人のグループで行われていますが、その際誰かが知り合いやボランティア、メディアの方を同行させることについて、以前は寛容に受け入れていたけれど、最近はお断りするようになったそうです。

それはなぜか。

どこかで変な噂が立ったり風評被害が生れた時に、「あの時あいつが連れてきたやつが変な話をしているんじゃないか」と犯人探しが始まるようになったからだそうです。

捜索を手伝いたいと思っても受け入れられないのはとても残念なことです。

風評被害はこういうところにも出ているのですね。

 

被災地の人々を苦しめているのは、あなたかもしれない

今回の「美味しんぼ」騒動でも、傷ついている方は大勢いるでしょう。私はこの騒動は作者や大手出版社だけの責任だとは思いません。恐らくそれを話題にしているのは、私を含め、実際はマンガを読んでいない大勢の人だと思うからです。

特に悪気もなく、あるいは善意の気持ちで何気なく話題にすること、ネタにすること。

風評被害の恐ろしさはそこにあると思います。

このブログを書きながら言うのも矛盾しているのですが、 「被災地の人々を傷つけているのは、自分かもしれない」という視点を、ブログ、ツイッター含めネットで発言する全てに人に持ってもらいたいです。

私も忘れないようにします。

 

<お知らせ>
谷敦志さんの写真展は5月11日(日)まで渋谷のタワーレコードでやっています。
最終日のトークには福島の方も参加されるとか。興味のある方はぜひ!

 

f:id:meigazasanpo:20140508021932j:plain

谷敦志さん、安田菜津紀さん、佐藤慧さんの書籍「ファインダー越しの3.11」もおすすめです。

 


映画な日々と国際協力の仕事をゆるーく融合させたいブログ
名画座さんぽ、書いているのはこんな人(プロフィール)

映画な日々と国際協力の仕事をゆるーく融合させたいブログ

国際協力の仕事と映画な日々、書いているのはこんな人(プロフィール)