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イスラエルがガザ地区を猛攻:今こそ思い出したい、村上春樹のメッセージ「壁と卵」

イスラエルパレスチナガザ地区を大規模空襲した上に、地上戦の準備を進めているそうです。

ガザ地区との境界近くに兵士や戦車が集結
日本テレビ系(NNN) 7月13日(日)1時32分配信  

中東・パレスチナをめぐる情勢で、イスラエル軍パレスチナ自治区ガザ地区との境界付近に兵士数千人を集結させるなど、地上戦を視野に入れた準備が進んでいる。  
イスラエル軍は12日、イスラム原理主義組織・ハマス実効支配するガザ地区に対する攻撃は、これまでに1220か所に上ったと明らかにした。また、現地保健当局によると、死者は127人、ケガ人は900人を超えた。  
一方、ガザ地区からの攻撃も続き、12日には、原子力施設があるイスラエル南部の都市・ディモナに2つのロケット弾が着弾した。空き地に落ち、被害は出ていない。  
こうした中、イスラエル政府関係者はNNNの取材に対し、「13日までに地上戦の判断をする」と述べた。ガザ地区との境界近くにはすでに数千人の兵士や多数の戦車が集結し、一部住民に対しては退避が呼びかけられるなど、地上部隊による侵攻の可能性も高まっている。

ガザ地区との境界近くに兵士や戦車が集結(日本テレビ系(NNN)) - Yahoo!ニュース

先週金曜日に、私の職場にも駐日パレスチナ常駐総代表部から下記メールが届きました。

Subject: パレスチナをご支援いただいている皆様へ
Date: Fri, 11 Jul 2014 13:13:46 +0900

平素よりパレスチナをご支援いただいている皆様へ
報道でご存じの方も多いと思いますが、ガザ地区イスラエル軍の攻撃にあっています。
今日時点で民間人を含め死者は88人、負傷者は600人を超えると伝えられています。
代表部は今後SNSも通じて、皆様に情報をお伝えしたいと考えております。
Facebook: https://www.facebook.com/palestine.emb.jp
Twitter : @ambsiam @PalestineEmb

改めまして今後、より一層のご支援をお願いする次第です。
スタッフ一同心よりお願い申し上げます。

駐日パレスチナ常駐総代表部

***************************************************************
The Permanent General Mission of Palestine Tokyo
Tel: +81-3-5215-8700 Fax: +81-3-5215-8705 ***************************************************************

Twitterでも、刻一刻と現地情勢が伝わってきます。

  • ガザ地区からf:id:meigazasanpo:20140713101238p:plain
    イスラエルの攻撃を受けたモスクで52人が死亡。血塗られたガザ)

    f:id:meigazasanpo:20140713101454p:plain
    (ガザの思うと心が痛い。ネタニヤフの暴走を止めさせよう。世界に平和を)

世界の反応

国連安全保障理事会が7/12に、停戦を求めた声明を発表したということですが、これは何の拘束力も持たず、対応としては最も弱腰です。

一方、各国でイスラエルを非難するデモが展開され始めました。

  • ロンドンでは数千人が抗議(7/11)
    f:id:meigazasanpo:20140713101815p:plain

ガザ地区への攻撃は、もちろんイスラエルの総意ではない

では、日本の反応は?

安倍総理は今年5月12日、「積極的平和主義」の立場から、「地域の平和と安定にこれまで以上に積極的に貢献する」として、イスラエルと協力していく方針を示しています。今回のイスラエルによる一連の攻撃も「地域の平和と安定」のためとして、安倍さんは支持するのでしょうか?

今後の声明、動向にも注視していかなければなりません。

 

今こそ思い出したい、村上春樹エルサレム賞受賞スピーチ

こんな時こそ、村上春樹さんが2009年2月15日にエルサレム賞授賞式で語ったスピーチ「壁と卵」の内容を思い出したいのです。

Please do, however, allow me to deliver one very personal message. It is something that I always keep in mind while I am writing fiction. I have never gone so far as to write it on a piece of paper and paste it to the wall: Rather, it is carved into the wall of my mind, and it goes something like this: 
どうか、極めて個人的なひとつのメッセージをお伝えすることを許してほしいと思います。それは、僕が小説を書くときにいつも頭の中に置いていることです。僕はそれを紙に書いたことはないし、壁に貼ったこともありません。そうではなく、それは僕の心の壁に彫ってあることで、それはこういうものです。

"Between a high, solid wall and an egg that breaks against it, I will always stand on the side of the egg."  
「高く固い壁と、壁に向かって体当たりをして割れてしまう卵があるなら、僕はいつでも卵の側に立つ」

Yes, no matter how right the wall may be and how wrong the egg, I will stand with the egg. Someone else will have to decide what is right and what is wrong; perhaps time or history will decide. If there were a novelist who, for whatever reason, wrote works standing with the wall, of what value would such works be?  
そう、たとえ、壁がどんなに正しくて、卵がどんなに間違っているとしても、僕は卵の側に立つでしょう。何が正しくて何が間違っているかは、誰か別の人が決めるべきでしょうから。たぶん時間や歴史が。それがたとえどんな理由であったとしても、壁の側に立つ作品を作る小説家がいるとすれば、そんな作品にどんな価値があるというのでしょうか?

What is the meaning of this metaphor? In some cases, it is all too simple and clear. Bombers and tanks and rockets and white phosphorus shells are that high, solid wall. The eggs are the unarmed civilians who are crushed and burned and shot by them. This is one meaning of the metaphor.  
この喩えは何を意味しているのでしょうか?いくつかの場合では、それは極めて単純で明快です。爆撃機と戦車とロケット弾と白燐弾が、高く固い壁です。卵は、それらに押しつぶされ、焼き尽くされ、撃たれてしまう非武装市民です。これが喩えのひとつの解釈です。

村上春樹のエルサレム賞受賞スピーチ全文 - media debugger

 

 「高く固い壁と、壁に向かって体当たりをして割れてしまう卵があるなら、僕はいつでも卵の側に立つ」

 私も同意です。 

 


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