国際協力の仕事と映画な日々

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戦前生まれの曄子さんが教えてくれたこと

昨年から準備をしていた写真展が先週終わりました。f:id:meigazasanpo:20140514002756j:plain

会場では、パレスチナという日本からは遠く離れた土地、そこで生きる人々や子どもたちの現状をモノクロの写真約50点で紹介しました。

撮影してくれたのは写真家のハービー・山口さん。国内外の著名ミュージシャンを多く撮影してきた大御所です。

1973年、当時ロンドンに住んでいた僕はクエートに行ったことがあった。そこで会ったとても美しく利発そうな女子学生にカメラを向けた。 「クエートの方ですか?」
「そうじゃないの、私はパレスチナから来ているの、でもね、私たちの国はないのも同然なの」
当時23歳の日本を出て3ヵ月、世界の何も知らない僕は、ふと見せた彼女の祖国への寂しい想いを少なからず感じて、キャンパスの中に消えて行く後ろ姿を見送った。その彼女の祖国パレスチナに僕は初めて旅することになった。

2013年11月のことだった。パレスチナには地中に埋蔵された資源はない。これといった産業もない。それどころかイスラエルとの争いがあるのみだ。数日パレスチナにいると彼らのフレンドリーな気質のお陰で、とても元気になっている自分を発見した。そんな彼らは僕に言う。 

イスラエルの人たちだって、我々とブラザーなのに!なんで紛争が続くのかね?政治が全て悪いんだよ」 毎日KnKのセンターに行った。ここでは地域の子どもたちを集めて教育支援をしている。ここで働いているパレスチナ人の先生たちは口を揃えて言った。
「世界の人は、我々のことをテロリストだと言うけれど、それは間違っている。我々大人は、子どもたちが決して希望を無くさず、恐怖を感じることなく立派な大人になって欲しいと願っているの!」
そうした子どもたちを目の前にして、彼らのために僕は何を撮影すれば良いのだろうか。出て来た結論は「彼らのパレスチナ人としての誇りを撮るべきではないか」ということだった。パレスチナイスラエルを分離する壁。そうした対立があるのに友好的に解決する術を誰も知らない。だがパレスチナには誇り高きフレンドリーで美しい子どもたちがいることをただ知って欲しいのである。

ハービー・山口 写真展挨拶文より

複雑なパレスチナ問題

パレスチナ問題は複雑で、説明するのがとても難しいと感じています。国連に正式加盟しておらず、日本も独立国家として認めていません。それゆえ、例えばうちの団体が活動国数を表現する際も、「●ヵ国と地域」というように、パレスチナを「国」としてではなく「地域」として取り扱っているのが実情です。個人的には「何か変なの」と思うのですが、外務省から助成金を得て活動することも多く、表現の上では国の方針に沿っています。

パレスチナ国連正式加盟を阻害しているのは、土地を奪い続けている隣国イスラエル、そしてイスラエルと親しいアメリカです。

現在、ちょうどクラウドファンディング「READYFOR」で「パレスチナの子ども合唱団と伝統音楽のCDを作りたい!」というプロジェクトを立ち上げています。そこにパレスチナ問題の解説が詳しく掲載されているので、ご興味ある方はのぞいてみてください。 https://readyfor.jp/projects/knkpalestine

 

曄子さんが教えてくれたこと

多くの方にご来場いただいた写真展が終了し、たくさん寄せられた来場者アンケートに目を通しました。皆さん思い思いの感想を書いてくださっています。

30代 女性 
壁の高さ、理不尽さ、壁と人々との温度差を感じました。人が人らしく、生きている実感を持って誇り高く生きられることを祈ります。

40代 男性 
街の人々の瞳から垣間見える表情を感じようと思って拝見しました。母が子を見る瞳の表情はどこの国も同じだと改めて感じました。

このような感想の中に、ひときわ私の目に飛び込んできたものがありました。
それが戦前生まれの曄子さんの感想です。

80代 女性
さほど変わらない顔立ちの民族なのに、高い壁でさえぎられ、反目しあうのは何故なのか?私は第2次世界大戦の最中に子ども時代を過ごしただけに、悲しい! 私の名前は、父が中国の留学生の世話をしていたこともあり日本と中国(中華)は仲良くしなければいけない・・・という考えから「日」と「華」でできている「曄子(ヨウコ)」という名前をつけたと教えられました。それだけに戦争が終わって進駐軍が来た時、顔だちが違っても、人間は仲良くできるのだということを実感しました。


どんな立場、民族であろうと、お互いを理解する努力が必要・・・。
戦前生まれの曄子さんにのメッセージは基本的なことかもしれないけれど、とても強く、深く心に響きました。

 


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