太地町を糾弾する豪州イルカ愛護団体が財務諸表を公開しない理由
「追い込み漁は残酷なものではない」と、太地町漁協が反論会見を行いました。
「自分たちは決して残酷と思っていない。確かに以前は銛(もり)で突き刺したりしていたが、何十年も前の話であって、一瞬で脊髄を切断して、血もあまり出ない方法に改善している」(漁協の担当者)
ことの始まりは、スイスに本部のある世界動物園水族館協会(WAZA)が、傘下の日本動物園水族館協会(JAZA)に対し、太地町からイルカを入手しないように求めたことでした。太地町のイルカの追い込み漁が残酷で、WAZAの倫理規定に反しているというのが圧力をかけた理由です。
WAZA > JAZA > 太地町 という圧力の構造で、JAZA-日本動物園水族館協会は板挟みにあっているのかと思ったら、さらにWAZAに圧力をかける存在があることがわかりました。
佐々木正明記者の記事に詳しく書かれてあります。
日本のイルカ漁撲滅を団体の活動理念に掲げるAFD代表、サラ・ルーカスは昨年、日本を訪れ、太地町を相手どって損害賠償訴訟を起こしていた。ルーカスが町営のくじら博物館の入場を断られたのは「人権侵害」にあたるとして町に慰謝料を払うよう求めたのだ。
豊富な資金力があるAFDの活動は多岐にわたる。「オーストラリアの恥」と称して太地町と姉妹都市を結ぶ豪北西部の都市にさえ圧力をかける団体は、今年3月、WAZAのある本部スイスでもWAZAを相手に訴訟を起こしている。太地産のイルカを購入し続ける日本の水族館はWAZAの倫理規定に背いており、WAZAがJAZAを除名しないのはおかしいというのである。
WAZAがJAZAに最後通告を突きつけてきたのはAFDの提訴の1カ月後だった。それまで日本側との交渉に応じていたWAZAの態度が急変し、JAZAへ強硬な手段に出るようになったのはこの提訴が関連していると、多くの日本側の関係者が指摘している。
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豊富な資金源があるAFDって?
シーシェパードなどは有名ですが、AFDという団体名は初めて知りました。オーストラリアの「Australia for Dolphins」という団体で、イルカの保護を訴える啓発活動をしています。まだ設立して数年しか経っていないようですが、最近は日本のイルカ漁を撲滅することに注力しています。
かわいいイルカちゃんたちがたくさん登場するウェブサイトでは、太地町と姉妹都市を結ぶ町に対して「Broom - Australia's shame (ブルーム / オーストラリアの恥)」キャンペーンを展開したり、今年3月から開始した世界動物園水族館協会(WAZA)に圧力をかける「Calling WAZA to account」キャンペーンへの参加を呼びかけたりしています。
ちなみにトップページの右下でほほえんでいるのはオーストラリアの有名人であるオリビア・ニュートン=ジョン。他にも多くの著名人が支援しています。
先に引用した佐々木記者の記事に、「豊富な資金力があるAFD」と書かれてあったので、どのくらい寄付を集めてるのかウェブサイトで会計報告を探してみました。
こういうのが気になるのは職業病です。
が、、、見つかりません。
ウェブには大きく「DONATE(寄付)」ボタンがあり、いたるところに「あなたのご寄付を賢く使います」と書かれてあるのですが、財務諸表は公開されていません。
日本でいうところの「認定NPO」でもなく、この団体への寄付は控除の対象にもならないようです。
財務諸表のページには、かわいいイルカちゃんの写真とともにこう書かれてあります。
As a new organisation, we haven't yet published any financial statements. AFD's first statement will be published at the end of the 2014 financial year.
新しい組織なので、私たちはまだ財務諸表を公表していません。 AFDの最初のステートメントは、2014会計年度の終わりに公開されます。
太地町を糾弾する豪州イルカ愛護団体が財務諸表を公開しない理由
AFDが財務諸表を公開していないのは、団体ができてまだ間もないからなのですね。
若い団体なんです。すごいな。
だって設立間もない団体が、設立80年の世界動物園水族館協会に圧力をかけて一か月で動かしたんですよ。
400年以上続く伝統産業を、窮地に追い込んでいるんですよ。
相当実力のあるアドボカシー団体です。
PR、プレゼンの力、キャンペーンの展開力には学ぶところも大きいです。
でも、この団体の2014会計年度の終わりって、、いつなんでしょう?
半年後にまだ公開されていなかったとしたら、アウトですね。
寿司や刺身が大好き人間としては、鯨肉を食べる方、イルカ肉を食べる方を否定する気は全く起きませんし、限りなく太地町の漁師さんたちを応援したいです。
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